2020/09/10

Legal-Basics Part 2: 人物写真 – 誰を撮影できる?

遠く離れた国でも国内の路上でも、被写体としての人物は、オブジェクト、風景、建物と同様に多くの写真家にとって面白味のあるものです。しかし、ただ単に人を撮影してもいいのでしょうか。またその写真は自分のウェブサイトやInstagram、Facebookに公開してもいいものなのでしょうか。 写真の中に人物が写っている場合、著作権法に加えて遵守しなければならない法律があります。それは肖像権です。この権利は一般的人格権を特別に表したものです。すべての人は、公共の場で自分をどのような形で表現するかを自由に決めることができます。ドイツでこの権利は美術著作権法(ドイツ語:Kunsturhebergesetz、略してKUG)によって保護されています。  法律が規制しているものは? 肖像権では、人物の描写は描写された人物の同意を得た場合に限り、公表または公開することができると規定されています。つまり法律により無断転載に対する保護はありますが、写真そのものに対する保護はありません。  しかし写真を撮ることは、たとえ公開されていなくても自分の画像をコントロールできなくなる可能性があるため、個人の権利を侵害することになりかねません。 ただし他人の肖像は、その人物を撮影した場合にのみ創造されるものなのでしょうか。全身写真もそのような肖像に該当するのでしょうか。これらの疑問に答えるための決定的な基準がひとつあります。それは、描写された人物が第三者に認識されているかどうかです。言い換えれば、人物の顔や目立つ顔の特徴が認識できれば、それはその人物の肖像になります。しかし注意が必要なのは、作品が肖像とみなされるためには必ずしも顔が見えている必要はありません。他の身体的特徴(特に目立つ髪型や体格など)や、特有なもの(撮影された物やジャージの番号など)によって、第三者が描写された人物を認識することができれば十分です。 同意とは、事前の同意を意味すると理解されています。同意は特別な形式に縛られるものではなく、書面、口頭、指示的な行動によって行うことができます。指示的な行動とは例えば、人がカメラ前で意図的に笑顔のポーズをとったり、手で合図をしたりすることです。 公開時は広告目的または編集目的なのかなど、公開先を明確にすることが重要です。描写された人物は、意図された使用の目的、種類、範囲を認識していなければなりません。 後々の紛争を防ぐため、広告目的で使用される画像については、可能な限り正確に文書で公開の同意を明記しておくことが望ましいと言えます。 従業員がパンフレットなど雇用関係の枠内で自分の描写を利用できるようにする場合、公開の同意は書面で行う必要があります。 許可された同意は、それが暗黙または明示的なものにかかわらず、非常に厳しい条件下でのみ取り消すことができます。原則として、写真を再公開された場合に一般的人格権の侵害となるような深刻な状況変化など、重大な理由がある場合にのみ取り消しが可能となります。 肖像権の例外 写っている人の同意を必要としない例外が4つあります。写真家にとってこの例外は非常に重要なものであり、これがなければ原則として被写体の同意なしに人物の写真を公開することはほぼ許されないためです。 この例外は、写真家の職業上の利益に対し、描写された人物の個人的な権利を天秤にかけるものです。その目的は、情報の自由、表現の自由、芸術の自由を守ることです。 したがってKUGによると、 – 現代史の領域に属する肖像画 – 風景又はその他の場所に単に附随しているにすぎない人 – 集会、パレード、その他の主要イベントの写真 – 芸術への関心が高い肖像画 の4つは、描写された本人の同意なしに公開されることがあります。描写された人物の正当な利益が侵害されている場合はこの限りではありません。 言うまでもなく、公人の写真の許容性を評価する基準は、個人の基準とは異なります。 政治家、俳優、スポーツ選手など、政治的、社会的な立場にある者は公益性のある人物とされています。一般的な関心事に対する意見形成に役立つ場合には、通常の日常的場面でも撮影されることがあります。人々が純粋にプライベートな出来事の最中に、特にプライバシーを合理的に期待できるはずの場合は、現代史の出来事とはみなされません。 […]
2020/08/13

法律の基礎知識①他人の家の写真を撮ることは許される?

何が著作権法違反の心配なく撮影することができる?エンパイアステートビルやダ・ヴィンチの「モナリザ」の写真を撮りたいが、配慮しなければならない権利は?これらはプロの写真家からのみではなく、よくある質問です。今回は他人の所有物を撮影することについて、また他国ではどのように扱われているのかを調査しました。 所有物の画像に権利はない 法律上の被写体とは、物理的な被写体に限られます。これには、建物、風景、美術品、動物などが含まれ、後者が特別な地位を与えられている場合も含まれます。原則として、所有者の同意なしに撮影・使用することができます。 ただし、個人やブランド、デザイン、著作物などのプライバシーを侵害する恐れのある私有地や建物内での撮影には注意が必要です。 私有地での撮影 私有地で撮影する場合は、所有者の使用権やハウスルールなど、特別な配慮が必要です。所有者が自分の所有物の写真が撮影され、商用利用されることに同意しなければなりません。これは第三者の非公有財産に入る場合には必ず必要となります。 写真家が写真を撮影中に第三者の権利を侵害した場合、違反した写真の使用者も責任を問われる可能性があります。撮影者であるあなたは、いわゆるプロパティリリースで自分の身を守ることができます。 所有者の利用権 財産は一般的に保護されています。財産の写真は、対象物自体に損害を与えることはありませんが、それにもかかわらず、所有者の権利に影響を与える可能性があります。他人が特定の被写体の写真で競合する可能性があるため、所有者はその写真を販売する機会を損失する可能性があります。 これは、所有者が自分の財産の撮影者を決めることを重要視している、お城やその他のモニュメントのような観光客にとって魅力的な建物に特に関連してきます。例えばポストカードを作成し、それらを配布するなどです 第三者の財産が写った写真を販売したい場合は、所有者の同意が必要です。そうでなければ、差し止めと損害賠償請求をされる可能性があります。 ハウスルールと規則 制限は、不動産所有者のハウスルールに起因する場合があります。ハウスルールは、例えば写真撮影の禁止を課すことで、物件の所有者が立ち入りを禁止したり、立ち入りに条件を付けたりすることを可能にします。このような禁止は、動物園、博物館、スポーツクラブやホテルのハウスルールなどでよく見られます。 不動産所有者の権利は非常に広範囲である場合もあれば、写真の商用利用を禁止するだけの場合もあります。入場が許可され、例えば入場料を買ったからといって、そこで写真撮影ができるわけではありません。許可なく写真を撮影した場合、所有者は差止請求や補償を受けることができます。 公有地など無料で利用できる場合でも、所有者はそこで撮影した写真の商用利用を禁止する権利を持っています。 私有地で撮影された写真を使用する人は、最終的に写真が合法的に撮影されたことを証明できなければなりません。写真撮影の禁止または制限を知らなかったからと言ってハウスルールの違反を弁解することはできません。 個人情報保護法 写真家は、写真がどこで撮影されたかという問題に加え、物を撮影する際には、画像に何が写っているかにも配慮しなければなりません。特に住宅地では、写真に人物が写っていなくても、住民の個人的な権利を尊重しなければなりません。寝室などアパートの内部の様子を見せることは、居住者の基本的な個人の権利を侵害することになります。 個人情報保護法は基本的な権利を与えているため、細心の注意を払って取り扱わなければなりません。誰もがプライバシーを守る権利を持っており、写真によって個人情報が明らかになることはありませんのでご安心ください。 個人のプライバシーを知ることができる写真撮影では、確実に同意を得るようにしましょう。さもなければ差止請求や損害賠償請求をされる危険性があります。 第三者の財産権(商標、著作権、デザインなど) 知的財産権で保護された被写体の写真を商用利用する場合も注意が必要です。場合によっては、権利者が写真使用を禁止するだけでなく、損害賠償を請求することもあります。 著作権 著作物とは、写真や写真の著作物だけでなく、そこに写った著作物も著作物になります。撮影しようとしている物に著作権がある場合、その物を撮影することは、著作物を複製したことになり、著作者の承諾が必要になります。著作権で保護されている作品の数は膨大です。建築物、模型、絵画、デザイナーズ家具、彫刻などが当てはまります。 前提条件は、作品が個人的な知的創造物であることです。決定的な基準として、いわゆる独創性のレベルが求められますが、そのようなレベルが存在するかどうかを見極めるのは必ずしも容易ではありません。したがって疑わしい場合には、作品があらゆる点で何の変哲もないものでない限り、著作権で保護されていると考えた方がよいでしょう。 一定の条件下では、正当な利益を守るために、著作者の同意なしに著作物を使用することを容認しなければなりません。このような例外は、著作権の障壁として知られています。これらの例外は非常に狭義に解釈されており、著作権に配慮した方法で解釈されていますので、疑問がある場合には、作成者の同意を得ることをお勧めします。 […]
2020/06/24

アメリカでのCOPYTRACK成功ケース〜写真家にとって絶好のチャンス〜

「アメリカは絶好のチャンス」著作権侵害の法的措置についてご紹介するのにぴったりなタイトルと言えます。ドイツとは対照的に、アメリカでは法的措置となると多くの場合、時間と費用がかかります。しかし損害を受けた当事者は、ドイツよりも遥かに高額な賠償金を受け取る権利もあるのです。 この記事ではアメリカで著作権訴訟で損害賠償を求めることができる基本的な法律と、写真家が法的措置を成功させる可能性を最大限に高める方法についてご紹介します。 著作権の所有は財産権です。アメリカの無断転載者がCOPYTRACKの事後ライセンス提案に応じず、過去使用料の支払いにも応じない場合、残された唯一の選択肢は法的措置です。著作権侵害訴訟で成功した原告は、実際の損害賠償または法定損害賠のどちらかを選択する権利があります。この選択は、判決が下される前であればいつでも行うことができます。 アメリカの法律で実際の損害賠償は、侵害によって直接的に生じた逸失利益と定義されています。これは原告が証拠を持って立証しなければなりません。しかし写真家が会社を設立し利益を得る前に侵害が発生することが多いため、検証可能な損害は最小限に留まってしまうこともあります。このような場合、原告は被告の利益を得る権利があります。または法定損害賠償を請求することもできます。 アメリカでの法定損害賠償の場合は、裁判官が支払うべき金額を決定します。その金額は裁判所が正当と考えるものに応じて750ドルから3万ドルまでの範囲となります。重要なのは裁判官は侵害された各著作物のためにこの損害賠償を裁定することです。さらに侵害が”故意 “であったことを原告が証明できる場合、法定損害賠償は最大15万ドルまで増額できます。しかし被告が「自分の行為が侵害に該当することを認識しておらず、その行為が侵害に該当すると信じるに足る理由がなかった」ことを証明した場合は、損害賠償額は200ドルに減額されます。ただし法定損害賠償額はその後の侵害を抑止するために充分に高額である必要があります。 以下では、専門性の高いCOPYTRACK協力弁護士のおかげでアメリカでの無断転載者と合意に至ることができたケースを紹介します。 ブログでのエディトリアル使用 この写真を違法に使用した責任者は3500ドル*の支払いに同意しました。キリスト教に関するブログで約3年半に渡り画像を使用していました。 Ryan & Raymondのその他の画像はこちらから。 企業ブログでの使用 この画像使用にて合意された金額は5500ドル*でした。テキサス州にあるコンサルティング会社のブログで10年間エディトリアル使用されていました。 企業ブログで商用利用 このブログの所有者は、バッグの宣伝のためにこの画像を7ヶ月間使用するため7500ドル*を支払わなければなりませんでした。 オンラインマガジンでの使用 アメリカのオンラインライフスタイルマガジンでは、許可なく6年以上この日本人著作権者の画像を使用し11500ドル*の支払いに合意しました。 企業ウェブサイトでの使用 造園会社のウェブサイトで目立つところに約16ヶ月間、画像を使用していた無断転載者と12500ドル*の金額で合意することができました。 ラジオ局のウェブサイトでの使用 この画像も日本人著作権者のもので、無断転載者は15000ドル*の支払いに合意しました。地元のラジオ局のウェブサイトで約1年半にわたり画像が使用されていました。 補足情報 アメリカではドイツの著作権法のように作品創作後、著作権法によって「自動的に」保護されます。著作権の申請や登録は任意です。 しかし事実上、多くの著作権者が自分の画像を登録することを選択しています。損害賠償請求で裁判となった場合、有利な状況になるのはアメリカだけではありません。 COPYTRACKユーザーのアメリカでの全ての請求を可能な限り最善の方法で執行するため、COPYTRACKでは問題となっている画像を米国著作権登録所に登録します。アメリカで多数の著作権侵害を抱えている全ての写真家にこの登録をお勧めしています。画像を登録することで、交渉上の優位性が格段に向上します。画像の最初の公開から3ヶ月以内に米国著作権登録所に登録申請することがベストです。 […]
2019/07/29

COPYTRACKがドイツで和解交渉:ライプチヒのホテルが約300万円の損害賠償支払い

ドイツのライプチヒにある名高いホテルとの法的紛争にて、COPYTRACKがベルリンの写真家のために25,000ユーロ(約300万円)での和解に成功しました。COPYTRACKの見解では、このホテルは国際的なホテルチェーンが写真家の数多くの写真を適切な使用権なく、広告目的で第三者に配布までしていました。 その実態とは 2012年7月ライプチヒのホテルマネージャーはベルリンを拠点とするある写真家に、顧客に配るためのノートカバー向けのライプチヒホテルの写真撮影依頼をしました。 写真家はホテルに依頼された仕事を終えます。数週間後、ホテルが写真を選択するため特に美しく撮影ができた黄昏時の15枚の写真を渡しました。それらの写真はノート以外で使用目的は同意されていませんでした。写真家は自身のサービスに対する請求書を送り、彼の任務いつも通り終わるはずでした。 ※ホテル写真の例(iStock) しかしその後、彼の写真が同意されていない範囲で使われていることが、COPYTRACKの画像検索により発覚したのです。そのホテルは写真を適切な使用権なく自身のウェブサイトに掲載し、少なくとも31の協力会社とホテル予約サイトにホテルの広告のために配布していたため、COPYTRACKではインターネット上で許可なく使用されていた画像として計87ケースが発見されました。この写真家とCOPYTRACKにとって、このホテルが著作権侵害をしているということは明らかな事実でした。 法的措置 COPYTRACKはケース提出を受理後、ホテル運営者に権利侵害について通知し、まずは収集した証拠をホテルに提示しました。ホテルは弁護士を通し、契約パートナーにそれらの写真を広告目的で利用可能としたことを認めました。 COPYTRACKは裁判外での和解のため、フェアなソリューションを見つけようと努力しました。しかしその努力は報われず、そのホテルとCOPYTRACKは示談金の合意には至りませんでした。そのためCOPYTRACKはハンブルグの地方裁判所に起訴を提起しました。 起訴 COPYTRACKは画像が広範囲による違法使用のための損害賠償支払いをハンブルグの地方裁判所に提起しました。さらにホテルチェーンは、COPYTRACKユーザーの作品が第三者に公開された範囲、自身で使用した範囲に関する情報を提供しなければなりません。 和解 起訴が提起されたためホテルは再度、和解交渉に興味を示しました。ホテルは裁判前の最終提案金額として7,500ユーロ(約90万円)の支払いを提示しました。しかし長期間による権利侵害を理由とし、COPYTRACKはこの提案を却下しました。 最終的には多数の写真の無断使用と配布により25,000ユーロ(約300万円)の金額にて合意がされました。今後の該当画像使用はこの和解で許可されていません。 Written by John Peacoc Noch offen [FAZIT] Lorem Ipsum….
2019/05/20

CCライセンスとは?クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの全て

CCライセンスとは?と思ったことがある方、それはあなただけではありません。フォトグラファーの皆さんや他の画像の著作権者にとって、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは無料で画像のライセンシングができる簡単な方法として挙げられます。と同時に“CCライセンス”と呼ばれているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、時にフォトグラファーと画像ユーザーの間で混乱を招く原因となることがあります。 その理由として「無料で利用できる」ということを「使用のルールがない」と実際に全く根拠もなく勘違いされやすいということが挙げられます。この誤解は多くのユーザーやフォトグラファーの「じゃあクリエイティブ・コモンズ・ライセンスって一体なんなんだ?」という疑問につながっていきます。本記事ではCCライセンスの扱いについて明確に理解できるよう、CCライセンスの取り扱いについて知っておくべきすべてのことを解説していきます。 概要 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは? クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの異なるタイプとは? 6つの異なるCCライセンスのレターコードが意味するものとは? 著作権者にCCライセンスがもたらすメリットとは? CCライセンスのデメリットとは? CCライセンスを公開するベストな場所は? CCライセンスの作品が表示に従って使用されていない場合の対処法とは? CCライセンスバージョン4.0でアップデートされた点とは? クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは? クリエイティブ・コモンズ(CC)は、法的に保護されたコンテンツを共有する目的で既製のライセンス契約を著者に提供する非営利団体です。またCCライセンスは、著作権で保護された作品の使用を契約にて規制する簡単な方法です。これは世界中で有効、つまり世界中で適用可能なのです。 クリエイティブ・コモンズ自体はコンテンツの発行者でもCCライセンス契約に基づいてコンテンツを配布する著者および著作権者などの契約当事者でもありません。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス自体はコンテンツの使用方法を制限するために、著者の独自の判断により使用されます。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの異なるタイプとは? 4つのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスオプションを組み合わせる事によって、合計6つの異なるCCライセンス契約を形成できます。全てに共通しているのは、CCライセンス下の著作物が常に無料で提供されていると言うことです。さらに著作権と出典を常に明記する必要があります。CCライセンスのもう一つの重要な特徴は、一度設定をしたら取り消せないということです。つまり一度使用許可を出してしまえば遡ってこれを撤回することが出来ないということを意味しています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで作品を識別するために、記号とレターコードを使用して特定のライセンスを表します。これにはそれぞれのライセンス間に3つの主要な異なった違いがあります。それは著作物の処理・著作物の改変の継承・商用利用の有無です。 6つの異なるCCライセンスのレターコードが意味するものとは? 著作物を使用するにあたっての最も重要な条件は、それぞれのCCライセンスの種類の名前によって識別可能です CC BY (表示) : 最もシンプルなCCライセンスであり、使用者は原作者を表示することだけが条件。このタイプのCCライセンスを使用する際は改変をするのも、商用利用も可能である。 CC […]
2019/05/13

Facebookに投稿した写真はFacebookのもの?これが知っておくべきこと

Facebookに関する統計によると、驚くべきことに毎日数億もの画像がこのプラットフォーム上でシェアされているとのことです。旅行時のセルフィーや赤ちゃんの写真から本格的なプロの写真まで幅広くシェアされている一方で、多くのフォトグラファーはFacebookへの自身の作品の投稿を一切やめる決断しています。実際にFacebookで画像をシェアする決断の前に考えるべき重要な質問があります。特に、Facebookに画像をアップロードすることはどの様な危険性があるのか?画像の無断転載からプロのフォトグラファーはどの様にして自分の身を守るのか?これらの疑問を踏まえてCOPYTRACKはFacebookに画像を投稿する前に知っておくべきことを以下にまとめました。 トピック目次 Facebook上に投稿された画像は誰のもの? フォトグラファーがFacebook投稿時に知っておくべきことは? 裁判におけるFacebookの無断転載対応 もしFacebook上の写真が無断転載されたらどうする? EU著作権改革はFacebook上の画像にどんな影響が? 結論 : 「安全第一」がフォトグラファーのキーワード Facebook上に投稿された画像は誰のもの? 先述した通りフォトグラファーがFacebook上に画像を投稿しないということは特段珍しくはなく、その背景にある理由は実際とても興味深いものです。多くのフォトグラファーが画像の無断転載を避けたいという理由から確実にFacebookへの画像投稿を避けている一方で、画像を投稿することによりFacebookに写真の所有権が移ってしまうことを恐れるフォトグラファーもいます。もちろんFacebookに投稿したからといってその画像が直ちにFacebookの物になる訳ではありません。ただし、注意しなくてはならないのは自分の作品をアップロードしたときにFacebookに付与される著作権のことです。  ► 本当に起こり得ること? Facebookの利用者規約(2019年4月現在)上の項目3.3.1にある「作成およびシェアされたコンテンツの利用に関する許可」に明記されている様に、Facebookはプラットフォーム上に投稿された画像の所有権を奪ってしまうということはありません。Facebookはこれに関し規約上でも明記しています : 「利用者がFacebookや利用中の他のFacebook製品において作成およびシェアしたコンテンツの権利は、利用者に帰属します。本規約のいかなる規定も、そのコンテンツに関して利用者が有する権利を奪うものではありません。利用者は、自分のコンテンツを、誰とでも、好きなところに自由にシェアすることができます。」 この項の面白い部分は、しかしながら以下の様に明記されている最後の文にあります : 「ただし、弊社がサービスを提供するにあたり、コンテンツの利用に関する法的許可を利用者から付与していただく必要が生じる場合があります。 特に、利用者が製品上で、またはこれに関連して、知的財産権の対象となっているコンテンツ(写真や動画など)をシェア、投稿またはアップロードする場合、利用者は、弊社が(利用者のプライバシー設定およびアプリ設定に沿って)利用者のコンテンツをホスト、利用、配信、変更、運営、複製、公演、公開、翻訳および派生作品を作成する非独占的、譲渡可能、サブライセンス可能な全世界を対象とするライセンスを付与するものとします。」 一般利用規約(GTC)におけるこの条項の法的妥当性は、しかしながら完全には理解されていません。 これまで、このような条項は消費者団体による訴訟の後、ベルリン高等裁判所により無効と判断を下されていました。この判決の背後には、時にFacebookの条項が不明確で理解し辛く、透明性の要件に違反しているという理由が挙げられます。  Facebookが必要な著作権 事実、Facebookがアップロードされた写真に関する条項を含める決断をしたのには理由があります。それは著作権の機能上、フォトグラファーまたは著者だけが自分の写真を複製して公開できるようにすることができるからです。もしFacebookがフォトグラファーの著作権を侵害したくなければ、単純にライセンスを得ればいいのです。  Facebook上に画像が投稿される度にFacebookの世界中のサーバーに画像のコピーが保存され、それによりどこでも同じスピードで画像を取得することができます。 利用規約で言及されているライセンスがなかった場合これはFacebookの著作権侵害になりかねません。さらに画像はプレビューでも配布されFacebookによりパブリックアクセスが可能なものとなっておりこれもまた著者の同意が必要です。  […]
2019/05/13

人工知能と著作権 : AIはフォトグラファーの脅威となるか?

AIはアーティストとなりフォトグラファーを 脅かすのか、それとも便利な助手となるのか。 2018年に人工知能が絵画を作成し、これがなんと約5000万円でオークションにかけられたことをご存知ですか? このような例と同様に人工知能の分野における急速な進歩のおかげで、AIに関する議論は非常に普及した話題になりました。これは特に人工知能と著作権が関係する場で顕著です。この革新的な新技術の将来について私たちが知る余地は未だありませんが、少なくとも著作権法の観点からAIの現在の状況を調べることは可能です。 例えば人間の知能と人工知能の関係とはどのようなものなのか?またAIはどれほどクリエイティブなのか?AIが「アーティスト」としてフォトグラファーを含む他のアーティストの脅威となり得るのか?それともペンやカメラの様な道具でしかないのか?こういった疑問は尽きません。 人工知能ってどんなもの?  人工知能はコンピューターが独立して学び、問題を解決できる様にコンピューターをプログラムすることを目的としています。今日では使用されている人工知能の応用分野はすでに数多くあり、人工知能はなんとアートの作成にも使用されているのです。AIによって作成された作品の注目すべき例としては、まるでビートルズによって作曲されたかのような曲や、小説版ゲーム・オブ・スローンズやハリーポッターの続編のようなものであったり、レンブラントの作品に類似性のある絵画が挙げられます。  この話題自体は複雑である一方、AIの基本的な情報を理解することはそこまで難しくありません。機械が学習することを可能にするために、AIには「トレーニングデータ」と呼ばれるものが用意されています。期待される結果により画像や歌、文学作品などの情報が与えられ、これがAIのアルゴリズムの分析や自己学習の例として役立つのです。 概要 “Edmond de Belamy”の肖像画 人工知能と著作権:AIは著作権者になれる? AIの作品は人間に帰属する? 注意:AIの作品も著作権侵害の対象に! フォトグラファーにとってAIの意義とは? 写真分野でのAIはどのくらい賢い? 結論:AIはデザインの自由を可能に “Edmond de Belamy”の肖像画 本文冒頭でご紹介した例の“Edmond de Belamy”の肖像画は、2018年に完全に人工知能によって創作された作品のことです。それが何とオークションにて432,500アメリカドル(日本円にして約4700万円)でかけられ、その作品に対する注目は一気に高まりました。AIが創作をするために使用したアルゴリズムは当時19歳であったRobbie Barrat氏が開発したものでした。アルゴリズム開発後、Barrat氏はすぐにオープンソースライセンスとして使用可能にしました。  “Obvious”として知られるパリのアーティスト集団がこのアルゴリズムを手に入れ“Edmond de Belamy”を創作しました。”Obvious”の期待する結果を生み出すため、創作を始める前、その準備と分析のために約15000もの絵画をこのアルゴリズムに与えました。2018年10月25日、この肖像画は先述した432,500アメリカドルという価格でニューヨークでのオークションハウス、クリスティーズに出品されました。これはオークションハウスで競売にかけられた初の人工知能による作品として歴史にその名を刻みました。そのニュースがRobbie Barrat氏の耳に入った時、彼はTwitterにてその怒りを露わにしました 。  ※その肖像画はこちらのツイートをクリックしてご覧ください。  […]
2018/12/12

Google画像検索 ► 吉とでるか、凶とでるか?

なんと便利なことに、Googleはウェブサイトだけではなく画像も検索することができます。例えば次の休暇の行き先の写真や、自分のウェブサイトの画像、またはプレゼンテーション用のイラストも検索することも可能です。そしてGoogleはパプリックがアクセスしやすい画像を数え切れないほど表示します。そこで今回は世界で最も使用されているこの画像検索エンジンに関して、いくつかの興味深い疑問とニュースをご紹介します。 目次: ► Google画像検索の画像は使用してもいいもの? ► Googleは画像検索で著作権侵害を起こしている? ►ついにGoogleが著作権情報を表示 ► 新しいGoogle画像検索は無断転載から守ってくれる? ► Googleの「画像表示」ボタン削除により無断転載は無くなる? ► Googleのリバース画像検索で無断転載の対策は完璧? Google画像検索の画像は使用してもいいもの? 多くのインターネットユーザーはインターネット上の画像をダウンロードしていいのかどうか確信が持てないでいます。その一方でGoogleは全てのサービスを無料で提供しているという確信に近い考えも既に広がっています。これを証明するように「Googleの無料画像しか使用していない」、「Googleの画像は無料で使用できると思っていた」とよく言われています。 実際のところ、検索エンジンで検出された画像を使用する時には、これらの画像は必ずと言っていいほど著作権で守られているということを留意しなければなりません。なぜなら画像やグラフィックはその著作権者から独占的に許可を得て公開されている可能性があるからです。原則として著作権者は、画像使用料と誰が著者/著作権者として画像に表示されるべきかを決めることができます。 COPYTRACKのCEOであるMarcus Schmittは「オンライン上にある写真で、撮影者や別の著作権者の名前を載せないまま無料で使用可能な画像はほとんどありません。」と語ります。あなたのプロジェクトの為にGoogleで画像検索し使用することは、あまり良い考えではないかも知れません。 Google自体も画像は著作権によって保護されている可能性があると明記しており、自由に二次使用可能な画像を検索する画像検索オプションを使用するよう推奨しています。画像検索オプションの「ライセンス」フィルターを使用すると、Googleが使用もしくはシェアを許可したロイヤリティフリーの画像を検索することができます。とはいえ、検索結果で「自由に二次使用可能」と出たとしても必ずしもライセンスがなく使用していいとは限りません。と、ここでも注意が必要です。 Googleは画像検索で著作権侵害を起こしている? ドイツの著作権法19条aによると、著作権者の許可がある場合のみ画像は使用されて良いことになっています。しかしGoogleはその画像検索の画像のコレクションを作成する為に使用しており、選択のためにサムネイルとして小さなサイズでユーザーに表示されます。では、画像検索を提供しているGoogleやその他の検索エンジンの運営者は大規模な著作権侵害を起こしているのでしょうか? → 2010年 このトピックは連邦裁判所(BGH)の長年にわたる悩みの種でした。2010年にGoogle画像検索結果の表示が著作権侵害を構成するかどうかに関して主要な決定がなされました。ちなみに著作権法の原則でも明言されていますが、連邦最高裁判所は著作者は自分の画像を保護する責任があると見なしています。 結局のところ、Google画像検索結果に画像を表示させたくないのであれば検索エンジンのアクセスをできないようにすることも可能です。そういったことからBGHは著作者を犠牲にする特権を検索エンジンに与える決定を下しました。 → […]
2018/04/02

盗まずどう入手する?オンラインショップ商品写真を適切に扱うには

古いテクノロジー、きつくなったジーパン、状態の良い家具をメルカリのようなオンラインショップで販売することは、とても簡単で誰もが一度はやったことがあります。そしてご存知の通り、外部販売サイトやご自身のウェブサイトを通して取引を行う際に、素敵な 商品写真 は販売を成功させるために不可欠です。カメラを持って自分の商品を撮影しない限り、適切な商品写真を探すことになります。インターネット上ではすぐに見つかりますが、不正使用の影がすぐさま忍び寄ります。著作権侵害と損害賠償請求に関する督促状が、販売者を驚かせる結果になることがあるのです。 画像権利ポータルCOPYTRACKは日々、著作権侵害に気付かず「どの画像なら違法にならず使えますか?何に気をつければ大丈夫ですか?」と質問する販売者の方々と話をしています。意図せず画像盗難が起こらないよう、ここではCOPYTRACKが全てのオンライン販売者のためによくある外部ソースから画像素材を扱うためのヒントを集めました。 1. 検索と発見:Googleや企業の写真 検索エンジンが見つけだした画像素材を使うことは、おそらく最も盗まれて欲しくない画像を確実に盗むことです。これらの写真は自由にアクセスできますが、ほとんどの場合は安易に使われることが許可されていません。鉄板ルールとして有効なのは、どんなに酷い写真であっても、著作権に守られているということです。使用条件、特に画像著作者や著作権者の同意なく商用目的で画像を使用することはできません。また画像ソースに従い、それぞれの著作権者や画像保有者に連絡し、ライセンスを明確にしましょう。 2. ストックフォト:購入写真で安全な買い物 Fotoliaのような画像データバンクは幅広い選択でハイクオリティな写真を提供しています。しかしそこでも使用には注意が必要です。それぞれの画像の使用条件を調査しなければなりません。全てのライセンスが商用での使用権を含んでいないためです。画像費用に加えて、ライセンス条項が守られていない場合、すぐにショップオーナーを脅かす契約違反または損害賠償請求の形で追加金額で驚かされます。しかしライセンス条項をきちんと守り、個人的にではなく高品質な画像を探す場合はストックフォトが安全と言えるアドバイスです。 3. 魅惑的な禁断の果実:販売元からのコピー 既に商品製造者によるパッケージや宣伝材料のための完璧な画像が存在する場合、自分で写真を撮影することは無用に感じるかもしれません。それはあなたのオンライン取引のためにも使っていいわけではありません。製造者の商品写真は自動的に利用のためまたは商用目的のために公開されません。 同じことがメーカーまたは競合他社の商品説明にも当てはまります。テキストと画像は通常、著作権によって保護されています。販売者が製造元の写真使用を希望する場合は、事前に使用を確認し、製造業者が第三者に写真を渡す権利があることを確認する必要があります。さもなければ差止と損害賠償請求に脅かされます。 4. それは誰の画像ですか? アマゾン画像の使用 更なる可能性として、素早く快適に商品を販売するには、アマゾンマーケットプレイスがあります。ここでは販売者などがアマゾン自体または他の販売者の同じ商品の既存の写真が追加されます。これはアマゾンが提案に自動的に適切な商品写真を割り当てるということです。しかしCOPYTRACKは、誰が提案に属する商品画像の著作権侵害の可能性の責任をとるのか、法的な不確実性があることを指摘しています。一部の裁判所はアマゾンの責任とみなし、他の裁判所ではアマゾンサービスを利用し、誰かの提案を追加した販売者に本当の責任があると言います。最終判決をする可能性のある高等裁判所の判決は依然として保留中です。便利に誰かの提案を使用するという選択肢もありますが、画像の使用権はそれぞれ個別に見直すべきです。 © COPYTRACK | Shiori Nakano