Buchstaben AI und Richterhammer

人工知能と著作権 : AIはフォトグラファーの脅威となるか?

AIはアーティストとなりフォトグラファーを
脅かすのか、それとも便利な助手となるのか。

2018年に人工知能が絵画を作成し、これがなんと約5000万円でオークションにかけられたことをご存知ですか?

このような例と同様に人工知能の分野における急速な進歩のおかげで、AIに関する議論は非常に普及した話題になりました。これは特に人工知能と著作権が関係する場で顕著です。この革新的な新技術の将来について私たちが知る余地は未だありませんが、少なくとも著作権法の観点からAIの現在の状況を調べることは可能です。

例えば人間の知能と人工知能の関係とはどのようなものなのか?またAIはどれほどクリエイティブなのか?AIが「アーティスト」としてフォトグラファーを含む他のアーティストの脅威となり得るのか?それともペンやカメラの様な道具でしかないのか?こういった疑問は尽きません。

人工知能ってどんなもの?

 人工知能はコンピューターが独立して学び、問題を解決できる様にコンピューターをプログラムすることを目的としています。今日では使用されている人工知能の応用分野はすでに数多くあり、人工知能はなんとアートの作成にも使用されているのでAIによって作成された作品の注目すべき例としては、まるでビートルズによって作曲されたかのような曲や、小説版ゲーム・オブ・スローンズやハリーポッターの続編のようなものであったり、レンブラントの作品に類似性のある絵画が挙げられます。 

この話題自体複雑である一方、AIの基本的な情報を理解することはそこまで難しくありません。機械が学習することを可能にするために、AIには「トレーニングデータ」と呼ばれるものが用意されています。期待される結果により画像や歌、文学作品などの情報が与えられ、これがAIのアルゴリズムの分析や自己学習の例として役立つのです。

Roboter zeichnet Portrait von Person

“Edmond de Belamy”の肖像画

本文冒頭でご紹介した例の“Edmond de Belamyの肖像画は、2018年に完全に人工知能によって創作された作品のことす。それが何とオークションにて432,500アメリカドル(日本円にして約4700万円)でかけられ、その作品に対する注目は一気に高まりました。AIが創作をするために使用したアルゴリズムは当時19歳であったRobbie Barrat氏が開発したものでした。アルゴリズム開発後、Barrat氏はすぐにオープンソースライセンスとして使用可能にしました。 

Obviousとして知られるパリのアーティスト集団がこのアルゴリズムを手に入れ“Edmond de Belamy”を創作しました。Obviousの期待する結果を生み出すため、創作を始める前、その準備と分析のために約15000もの絵画をこのアルゴリズムに与えました。20181025日、この肖像画は先述した432,500アメリカドルという価格でニューヨークでのオークションハウス、クリスティーズに出品されました。これはオークションハウスで競売にかけられた初の人工知能による作品として歴史にその名を刻みました。そのニュースがRobbie Barrat氏の耳に入った時、彼はTwitterにてその怒りを露わにしました  

その肖像画はこちらのツイートをクリックしご覧ください。 

Robbie Barrat
Robbie Barrat@DrBeef_
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left: the "AI generated" portrait Christie's is auctioning off right now

right: outputs from a neural network I trained and put online *over a year ago*.

Does anyone else care about this? Am I crazy for thinking that they really just used my network and are selling the results?

彼は自身の苛立ちを説明するため、オークションに出された肖像画を1年以上前にBarrat氏が自身のアルゴリズムを使用して作成、公開された肖像画の比較を公開しました。 “Edmond de Belamy Barrat氏によって投稿された作品のスタイルは誰が見てもわかるような類似性を持っていました。 

人工知能と著作権 : AIは著作権者になれる?

上記の例から、著作権と人工知能に関する話題理解ることは、そう簡単ではないということが明らかになました。まず頭にふと浮かんでくる疑問は「著作権法では、誰が“Edmond de Belamyの著者なのかということでしょう。肖像画を創作したソフトウェアの開発責任者であるRobbie Barrat氏なのか、もしくは15000作品に上る肖像画をアルゴリズムに組み込んだアーティスト集団”Obvious”なのか、はたまたAIが肖像画を創作したので、誰もこの肖像画の著作者を主張出来ないのでしょうか? 

“Edmont de Belamy の著作権の帰属先を探るためにまずは、AIが創作した芸術、文学、音楽に著作権保護が適用可能かどうかを確認しなくてはなりません。実際これは回答が難しいと言えます。著作権法UrhGの第2条(2)にはこのような記載があります 

これは著作権法で守られるべき作品にある程度の個性が必要であるということを意味しています。これはデザインレベルと呼ばれ、作成された作品が恣意的すぎたりあまりにもありふれたりしてはいけないということを説明しています。AIが作成した作品に批判的な意見が多くあるのも紛れのない事実ですが、一方で多くのAI関連作品に高いデザイン性があるというのも否定できません。 

AIの作品は人間に帰属する?

先ほどのトピックでAIが創作物の所有権を主張できるのかと言う問いに答えましたが、これに付随して新たな疑問が浮かんできますAIによる創作の背景にいる人はどうなのでしょうか。彼らは結果として生まれた作品の著作権を持つことができるのでしょうか。 

原則として、作品を創作するために技術的な援助をした個人でさえ著作権保護の適用が可能です。これは例えば誰かがコンピューターやカメラ、ソフトウェアや何らかの機械を使って創作をした時に著作権を主張できるのとまさしく同じことと言えます。 

前述の例すべてに共通していることの1つは、その道具を使用する作品の創作者が、実際の作成プロセスを大きくコントロールできることです。これは彼らが創作の最終的な結果に大きな役割を果たしていることを意味します。 

つまり、これに関して技術的な援助を得て創作されたもの全てがそのプロセス上で人間による直接の影響を受けており、それ無しには創作ができなかったであろうということです。もし作品が制作過程で人間による全くの介入が無く創作されていた場合(例えば、ボタンを押してコンピュータプログラムを実行するだけなど)、著作権保護はされません。著作権によって保護される条件として人間による個人的な貢献がはっきりと認識可能でなければならないということと、それが作品の最終的な完成に大きな影響を与えていなければならないということです。 

“Edmond de Belamy”の肖像画に関しては作成時にプログラム自身が学習能力を備えていました。創作の中に人間的要素が欠如しているということから、ほとんどの人は上記で説明された著作権の原則を当てはめ、この肖像画は著作権で守られていないと考えるでしょう。 

とは言え、絵画を選択しアルゴリズム形成を助け、肖像画を作成すると言う決断は人間によるものです。さらに、肖像画には一連のコード署名がされており、人の手によって選ばれた金の額に入れられていました。これが示ことは、作品が全くの偶然によってできたわけではないと言うことです。さらにAIによる完全なる作品の完成はRobbie Barrat氏が開発したアルゴリズム無しには成し得なかったものなのです! 

注意 : AIの作品でも著作権侵害の対象に!

誰がAIの作品を所有しているかに関係なく、AIが創作した作品の使用は注意が必要です。状況によってはAIを使用し創造された作品の使用も既存の著作権侵害になり得るのです!オリジナル作品とAIの作品に明確な関連性があった場合がこれに当てはまります。例えばもしAIが作成したハリーポッターの続編がアクセス可能されていた場合、オリジナル作品の著作権を侵害しているとみなされる可能性があります。 

Portrait durch KI-Pixel erschaffen lassen

フォトグラファーにとってAIの意義とは?

これまでに芸術作品の創造にAIが与える大きな影響を取り上げてきましたが、AIが同様の影響を写真に及ぼすことは言うまでもないでしょう。例えば人工知能の助けを借りたコンピュータープログラムで写真の後処理を全て完了することはもう不可能な話ではありません。このような写真へのAIの実用化は、フォトグラファーが画像処理に費やす時間を短縮したり、そのプロセスを自動化するのに役立つ実用的な技術革新となりえるでしょう。 

これが画像のスタイルにおいてフォトグラファーの没個性化を引き起こすのではないかと考える人もいるでしょう。実際のところ、AIサポートプログラムの結果は一貫して、シャープで強いコントラストとなっています。一方で多くのフォトグラファーもそのスタイルなのです。 

そして、フォトグラファーが自身のワークフローに人工知能を組み込んだからと言って、それが取り消しのきかないものではありません。AIをある特定の条件下やプロジェクトでのみ使用することも可能です。このように、フォトグラファーは人工知能に依存するのではなく強化ツールとして活用し、人間の創造性を損なわれないようにすることができます。とは言え、AIを多く使いすぎると簡単に依存するようになってします。もしこれが実際起こった場合、人工知能はさらなる開発を助けるのか、それとも妨げになってしまうのでしょうか結局のところ、多くのプロのフォトグラファーはこの質問に対して複雑な感情を抱いていますSüddeutschen Zeitung(南ドイツの新聞社)によって開発されたツールはオックスフォード大学の研究に基づいており、コンピューターが個々の職業をどのように脅かすかを研究しています。

写真分野でのAIはどのくらい賢い?

キャノンドイツは、Gesellschaft für Konsumforschung e.V.(消費者調査研究・GFK)と協力して2018年ケルンで行われたPhotokinaにていくつかの新しいAI機能を発表しました。そのイベントでGFKは「写真分野での人工知能」というトピックの研究を発表しました。その研究では、人工知能が写真・映像の生産過程を大幅に単純化できるという理由から、既にその業界では人工知能に対する高い寛容性かすでに存在しているということでした。 

もう一つの調査結果では、回答者の86%が写真が撮影しやすくなるという理由で人工知能を支持しています。30歳から39歳の年齢幅のフォトグラファーに調査時、92%もの人がAIを使用した機能を使用すると答え、AIを全く使用しないと答えた14%を大幅に超える結果となりました。AIでサポートされている最も人気な機能は、閉じた目を認識し目が開いたときにシャッターを切るというものです。また自動顔認識機能は改善が最も望まれているものであり、この種の改善を支持している回答者の割合は86%もいるのです。自動レタッチはほんの20%というかなり低い支持率でしたが、特に不快な画像の自動レタッチの場合にこの数字は45%に急上昇しました。 

結論 : AIはデザインの自由を可能に

言うまでもないことですが、AIの未来は不確かなものであり、非常に感情的な議論につながります。人工知能に恐怖を抱く人もいる一方で、諸手を挙げて歓迎している人もいます。実際のところ、事実はこの中間にあると考えられます。デジタル化の恩恵を受けることを望む人は誰でも、人間と機械の知能を建設的に結び付けるべきです。 

“Edmond de Belamyの肖像画を巡る論争は、こういったAIの分野と著作権法の話題が著作権について多くの疑問を投げかけていることを明らかにしています。この疑問はいまだ解決されることは無く、現在の見通しではこれが近い将来に変わると言うこともなさそうです。ただし良いニュースとして、写真の近い未来に関してフォトグラファーは大きな心配をする必要はありません 

Zukunftsinstitut (未来研究所)の研究者は「人工知能」という用語はしばしば混乱のを招くということ彼らの「人工知能に関する6論文」で法的に指摘しています。 

この混乱を引き起こす原因は以下の二つの表現時に知能として捉えられる問題の解決能力また我々の創造性をもって複雑な世界に対応可能にする意識これらが「知能」としてまとめられています。 

表面的に見ればこの二つは似通っているようにも感じられますが、感情、直感気持ち、知覚、感触など私たちの意識の一部と、車を運転したりレストランの席を予約することができるコンピュータとの間には明らかな違いがあります。 

さらに人工知能は人間の意図により形成され初めて「知能」を得ることができます。現状このトピックに関する事実として、AIが単調で時間のかかる仕事を自動化可能になったと言うことです。これはクリエイティブアーティストが創造性をもって彼らを最も惹きつけるものに集中する機会が増えたと言うことを意味します。しかしながら、もしAIが私たちの仕事の大部分を担うようになる時が来たら「その浮いた自由時間をどう有効活用すべきか」と自問しなければなりません。 

Ein Artikel von Florian Moritz & Dr. Daniela Mohr

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